カウンセリングサービスの成宮千織です。
今回は私を含めたカサンドラ妻が周囲の人になかなか理解されない理由を、私の体験を通じて書いてみようと思います。
カサンドラ症候群とは
家族やパートナーなど生活の身近にいる人が、ASDなどの発達障害(現在の診断名は自閉症スペクトラム障害)の特性が原因でそのストレスから関わる人が自信を失ったり、心身共に不安定な状態になることです。カサンドラ症候群は正式な疾病名ではありません。
私は、夫婦でどんなことがあって、夫から何を言われた、されたってあまり周囲の人に言うことはなかったんです。
一番の理由はブログのタイトルにあるように言っても理解してくれる人は少ない、ではなく、いなかったからなのです。
片付け魔の夫のことを友人に話すと、「そんな人が家に一人いたらいいのに」って言われました。気が休まらないと、友人にかなり詳しく話したつもりなのですが、私のしんどさは伝わりませんでした。
でも私も友人の立場だったら、「片付けしてくれるんだから、散らかすよりいいじゃん」と思うかもしれません。今の自分でも、ちょっとそう思うんです。文句を言うより感謝かも?って。
また身内に別の苦労話しをしても「うちだってそうよ」とか「男なんてみんなそうじゃない?」
物事や事柄を話しても、本質ではないことを強調して捉えられてしまい、取るに足らないことになってしまいます。「どこもそうよ」って。
わかって欲しいのに、わかってもらえない、そのうちに「私が悪い」と思うようになるんです。
底なし沼にいるような孤独感。もがけばもがくほど沈んでいく感覚。いつか慣れる、治ると思いきや、どんどん抑うつ状態がひどくなるんですね。
幸い、我が家は単身赴任の期間が長く、悪化しそうになると離れていい距離感を保てているため、私は重症にはなっていません。やはり離れると回復するのですね。
わかってもらうためには、詳しく人に話すことが大切だと思うのですが、あまりにもハードな話は相手にも心の負担になりそうなので、軽めに話すのですが、それでは伝わらず悩ましいんですよね。
そのうち、話したところで?という行き詰った気持ちになり、誰にも話さなくなりました。
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ここからは、今の私が取り組んでいることです。参考になるかわかりませんが、回復している今だからできることです。苦しいときは、とてもできませんでした。
離れていても、メールで傷つくことはあります。ちょっとのことで底なし沼に突き落とされてしまいます。
以前なら、引きこもり的な怒りで連絡をしばらく取らずにいました。でも、今はできる限り自分の気持ちをわかりやすく書いて送るようにしています。
発達障害の人は、自己防衛が人並以上に強い特性を持っているので、文句や不満は書きません。以前は文句ばかりで責めてばかりでした。「どうしてわかってくれないの?」という私の満たされないニーズです。
いや、わからないものはわからないだろう。そう気づきました。そもそもわからないんだから、私がわかってあげないと。自己犠牲的なものではなく、やれることをやってみようと思ったんです。
最初からそんな気持ちになったわけではなく、夫のことを物凄く恨んだり憎んだりもしました。
やってダメなら、諦めもつく。やれることがわかっていて、やらずに終わるのは後悔するんじゃないのかなって思ったんです。
深く深く、傷つくかもしれない。
カウンセリングサービスでは、「傷つく、それは愛ではない」と教えられました。どこまでの愛が自分にあるかわかりません。でも、試してみたくなったんです。
多分、夫のことを10%も理解することはできないと思うのです。誰だって人のことを完全に理解することはできませんものね。それでも、1%でも多く理解したいという気持ちでいます。
全世界のカサンドラ妻が癒されますように。
祈りをこめて。