こんにちは。カウンセリングサービスの成宮千織です。いつもありがとうございます。

心の仕組みや、どう考えれば楽に生きることができるだろうと、日々、探求し続けていると、「どうして私は〜何だろう」と自分を見つめ直す機会がとてもたくさん出てきます。
相手が悪くて、自分が正しいを主張すれば、被害者意識のまま、変化も成長もしません。しかし、もし自分にその数パーセントでも原因があるとしたら?そんなふうに視点を変えると見える世界も変わってきます。それが成長するということのようです。
心理学には投影の法則というものがあります。投影とは、自分の心の中の状態が、私たちの外側の世界に映し出して現れるといわれています。「投影の法則」を使えば、私たちの悩みの多くは解決できるといわれています。しかし頭で理解していても、それを実践するのは意外と難しいものです。なぜなら投影というのは、瞬時に起こり、それも無意識だからなのです。
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わかりやすい投影の例では…。財布を落としてしまった。そのあとに急な雨。傘も持っていません。「こんな時に、雨まで降るなんてもう最悪!」と、気分は最悪、雨も憎らしく感じると思うのです。
しかし、大好きな恋人からプロポーズを受けたあとなら、「天も喜んでくれる♪」と、雨も嬉しく感じるかもしれません。
雨そのものは本来、良いも悪いもなく、ただの気象現象で、それに意味をつけてしまうのは私たちの心なのです。
そして、「雨は降るものね」と、気づくことで、財布を落としたことと切り離し、これ以上気持ちが落ち込むこともなくなるのです。これを「投影の引き戻し」といいます。
投影に気づき、投影の引き戻しをすると問題が問題とは思わなくなくなる、つまり解決できるということです。
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若い頃、私はお金持ちの奥さまタイプの人が苦手でした。思い返してみても、その人たちから嫌なことを言われたり、されたこともないのです。でもできたら関わりたくないなっと思っていました。
どうして苦手なんだろう?と私なりに考えてみると、子供の頃に近所のお金持ちの女の子と仲良くなったことがキッカケのような気がします。
私の母と、その女の子のお母さんはママ友でした。母はその子のお母さんと自分自身を比べてよく卑下するようなことを言っていました。
「うちとお金持ちの〇〇さんの家は違うから」「お金がない」母から何度も聞いたフレーズでした。
ただ、お金持ちの女の子は、頭も良く、目鼻立ちも整って、名前もアニメの主人公になりそうな素敵な名前で、クラスの憧れの存在でした。住んでいる家もどこかの国の洋館のようでした。
その女の子は、担任のベテランの女の先生からもヒイキされていて、その反対に私はその先生から、よく注意されていました。その時「お金持ちだから偉い。それに比べて私は貧乏だからダメなんだ…」と、勘違いしたと思うのです。
考えてみれば、先生はお金持ちだったからその女の子をヒイキしていたとは限りませんし、私の家がお金持ちじゃないから注意されていたということもなかったと思うのです。私のテストの点数が悪かったり、授業中に友達とおしゃべりが過ぎていたからかもしれません。記憶と感情は変なところで結びつくんですね。

大人になってからはこんなことがありました。私は結婚して3年目に夫の仕事の都合で、海外に住むことになりました。子供はまだ生後4ヶ月で育児にも慣れず、言葉も通じない国。とても不安でした。
今から20年以上前で、日本人も少ない町だったので、不憫に思ったのか、夫がお世話になった現地の会社の社長夫人がよく私と息子を誘って公園に連れ出してくれました。
私よりもずっと年上の、お金持ちの女性。今思うととても有り難いことだと思うのです。でも、私はその時間が苦痛でたまりませんでした。
私はむずがる息子をあやしながら、前日に勉強した即席英会話で奥さんの機嫌も取ってるような状態でした。堂々と振る舞う奥さんと比べて、恐縮してしまう「こんな私は…」と、とてもみじめな気持ちになっていました。
公園に行ったあとは、社長のお宅で美味しいお茶をいただいて、また車で自宅まで送ってくださいました。私のために時間をつかってくださった社長夫人。それは親切でしてくれたことで、その好意を受け取れなかったのは、私の心が劣等感でいっぱいだったからだと思います。

帰国後は、息子の幼稚園のセレブなママ友と仲良くなりましたが、どうも自分らしく振る舞えないのです。また、ご近所にセレブな方がいると、なぜか必要以上に萎縮していたのです。
その時、自分が下に見られるような気がしていました。でも、投影の法則を勉強して、分かったのです。
それは、【自分が自分を見下げていたのです】
自分のことを見下げていれば、それは外側に映し出され、人から見下げられているような感覚になります。
このことに気づいた私は、自分のことを見下げることをやめようと決意しました。考えてみれば、お金持ちだからって、人を見下すとは限りません。むしろ心に余裕のある優しい人のほうが多いと気づいたのです。私は投影を引き戻し、少しずつ堂々としていられるようになり、今は苦手意識が全くなくなりました。
投影は、誰にでも起きていることです。それに気づいて、「それは、本当だろうか?」と、考えてみると、意外と問題が解決することも(解決までできなくても、気にならなくなることも)あるのです。