カウンセリングサービスの成宮千織です。いつもありがとうございます。
私たちが日々抱えている問題を掘り下げていくと、心の奥にある無価値感や罪悪感が原因ということがよくあるようです。でもこの感情は自分の心の中にあるものなのに、なかなか気づけないこともあるのです。どちらもいい気分にはならないので、気づいたとしても心の奥においやってしまいがちです。
罪悪感という言葉は、「お母さんにひどいことを言ってしまって罪悪感でいっぱい」など、日常的に使うことも多いのでご存じの方がほとんどだと思うのですが、無価値感についてはあまり馴染みがなくよくわからないという方も多いと思います。
今日は、無価値感とその癒し方を書いていこうと思います。
「無価値な自分が得たものには、価値がない」
無価値感とは、自分には価値がないと感じることです。「私は愛される価値がない」「私は生きるに値しない」「誰の役にも立たない」といった自分自身を否定する感情です。
自分には価値がないと思って産まれてくる赤ちゃんはいないのです。これまでの人生の中で誰かからそう思わされた、または自分で思い込んでしまったと思うのです。育った環境の中で褒められる経験が少なかったり、自分の意見や気持ちを否定されたり、そういったことの積み重ねで、心の中に無価値感がつくりだされたんです。
無価値感がある状態とは、心にぽっかり穴があいているような感じです。穴があいていると不安になって、その穴を何かでうめなければならないと思うようなんです。
穴はイメージですので、実際は自分に足らないものを外側からもってきて補わなくちゃと思うわけなんです。学歴、職業、年収、地位、名誉、パートナー、車、ブランド品…と多種多様なもので自分に価値をつけようとします。たとえば学歴コンプレックスのある人は、高学歴のパートナーを求めたり、自分の子どもをいい大学に入れようと必死になったりします。
すべてではありませんが、そこに無価値感が隠れていることがあるのです。
でも、足らないなにかを補おうと頑張ってみても外側のものでは、ちっとも満たされないんです。一時的に穴がふさがって自分には価値があると思えても、すぐに穴はもとのあいた状態に戻ってしまいます。そうなるともっと多くのものを求めたり、よりいいものがあるんじゃないかとまた外側のものを探し始めます。
たとえば、お金を手にいれた、でも幸せになれない、だったらもっと働かなければ!とハードワーカーになったり、もっと相性のいいパートナーがいるんじゃないかと理想の人を追い求めたり…キリがないんですね。
このときの心の中の状態は、数値であらわすとマイナスの状態なんです。マイナスから頑張ってもゼロになるだけ。なかなかプラスにならないんです。ちょっと油断するとすぐにマイナス(無価値感)に戻ってしまいます。
だから頑張って頑張って頑張り続けなければなりません。無価値感を補うためにしたことはなかなか達成感や満足感が得られません。
それは、「無価値な自分が得たものには、価値がない」と思ってしまうからなのです。だったらもう何もしたくないと諦めのパターンになることもあるようなのです。
童話「青い鳥」から学ぶ癒し
みなさんは「青い鳥」というお話をしっていますか?あの有名なメーテルリンクの童話です。
チルチルとミチルが幸せの青い鳥を探しに旅にでるのですが、捕まえることができず家に帰ってきます。
すると家にいた白い鳥が青い鳥にかわっていたのでした。
心理学に「青い鳥症候群」という言葉があります。今の現状を受け入れることができず、もっと他にいいものがあるんじゃないかと理想を追い求め続けることです。「青い鳥」にちなんで名づけられたようです。無価値感に通じるものがありますよね。
外に幸せを求めてもみつかることはなく、本当の幸せは自分の足元にあるということなんですね。
自分の内側からわき上がってくるものを見ていく
では無価値感をどうするか?ですね。まずは決断することから始めます。「私は私の無価値感を癒します」お決まりのようですが、コミットって大切なんですよね。
私がまだボランティアカウンセラーのころのお話です。母を許すためのカウンセリングを受けていました。カウンセラーさんに「どうやったら許せますか?」ときいたところ、「その質問がでるうちは、許すことはできませんよ」と言われました。当時は「え~?」っと驚くばかりでしたが、今は何ごとも自分が決断しなければ変わらないということがよくわかります。
そして、外に幸せを探し求めても幸せは見つけられない、だから自分の内側からわき上がってくるものを見ていくのがいいようです。
わくわく、嬉しい、楽しい、心から笑うこと。
・どんなことで私はわくわくするんだろう?
・どんなことが私は嬉しいんだろう?
・どんなことが私は楽しいんだろう?
・どんなことで私は心から笑えるんだろう?
心の声を聞いてあげてください。
でも、すぐにはできないかもしれません。心の声は耳をちゃんと澄まさなければ聞こえません。またやりたくないことばかりやっていると、心の声が聞こえづらくなるようなのです。
心の声「このふわふわのハンカチほしいな」
私「ダメダメ、ハンカチなんてたくさんあるでしょう」
心の声「今日は美味しいステーキが食べたいな」
私「そんな高い肉ダメ、もっと安い肉にしないと」
こんなやり取りを自分としていませんか?
だから、自分の心の声はどんどん小さくなって、すぐに自分の声にかき消されてしまうんですね。すると、自分のわくわく、喜び、楽しみがわからなくなっちゃうんですね。「あなたの好きなものはなんですか?」この質問にすぐに答えられますか?私は忙しくて余裕がなくなると、自分の好きなことがわからなくなるんです。忙しいの「忙」という感じは心を亡くすと書きます。そうなったら、まずは休みましょう。
無価値感を癒す「自分を満たす10のリスト」
具体的なワークをひとつご紹介します。まず、自分が満たされることを10個(それ以上でもOKです)書き出します。これはできるだけハードルを下げてくださいね。好きな音楽をきく、カラオケにいく、雑貨屋にいく、焼肉を食べにいく、散歩をするなど。
自分にとっての成長や体のためなどは入れないでください。ただ、それらで心が満たされるならOKです。
できるだけ人を巻き込まず、自分一人でできることを考えてくださいね。友達とランチ、彼とデートなどは満たされる10個以外の別枠としてたくさん楽しんでください。
10個のリストを、私は夜お布団に入って考えながら眠りについたんです。するとすごく満たされるような夢をみたんです。夢の内容は忘れてしまったのですが、目がさめたときに幸せな気分につつまれていました。そして、心に余裕がでてきたのか、人に対する優しさが自然に湧きでるようになったんです。
書き出したら、それを見えるところに置き、3日間できるだけ叶えてあげてください。ただできないこともあると思うのです。雑貨屋に毎日はいけませんから、そのときはネットで雑貨屋のサイトをみる。焼肉を食べにいけないときは、家でお肉を焼いて食べるなど代わりにできることをしてみてください。
それでも、これはちょっとと思うこともあると思うのです。もったいないとか、ムダなこととかエゴの声がでてくることもおおいに考えられます。その言葉を打ち消す魔法の言葉は「一生に一度くらいいいじゃない」まずは3日間が目標なので、無理なくできると思うのです。
3日間できたら、3週間、3ヶ月と続けてみてくださいね。3ヶ月間、継続するとそれが習慣になるようですよ。自分の声を可能な範囲で無視しないできいてあげてくださいね。
すぐに否定する人、無視する人って誰でも好きになれないと思うんです。そんな嫌なことをする人が自分だとしても同じなんですね。自分のことがどんどん嫌いになっていきます。でもその逆のことをしていくと、やがて自分自身との信頼関係ができ、自分のことが好きになるという仕組みです。その頃には自分に価値がないなんてもう思わなくなると思いますよ。
無価値感が必要だったわけ
心の中に「私は価値がない」そんな感情があったんだと気づいたとき、とても悲しい気持ちになる方もいると思うんです。それを認めるのも辛いんですよね。でもあるものをあると認識できると、ホッとする部分もちゃんとあると思うんです。どんな感情もムダなものはなくて、必要だからあるようなんです。
無価値感なんて必要ないといえばそうなんですが、心は複雑で、たとえば「私は愛される価値がない」と思っていれば、それ以上誰かの愛を期待することはないんです。期待しなければ傷つくこともありませんから、そうやって自分の心を自分なりのやり方で守ってきたんですね。
それが準備もなくいきなりなくなれば不安がでてきます。心地悪さもありながらそこがコンフォートゾーン(安全な領域)だったんですね。慣れ親しんだ感覚というとわかりやすいかもしれません。
でもそれが問題となって表面にあらわれたときに、もうそのやり方で守らなくてもいいよ~って無価値感を癒してあげたらいいと思うんです。ただですね無価値感を邪魔者としては扱わないでくださいね。無価値感も自分の感情なので、「無価値感のある自分はダメだ」と結局は自分を否定することになります。もしも思ってしまってもそれもまた許してあげましょう。どこまでも自分に優しくです。
どんな感情も必要だったからあったもの、自分を満たしながら新しい自分にゆっくりとシフトチェンジしていくのがよさそうです。
みなさまに幸せが訪れますように