カウンセリングサービスの成宮千織です。いつもありがとうございます。
私は、長いあいだ母親との確執があり、完全に許したというと正直なところどうなんだろう?と思うことはありますが、今は母と同じ屋根の下で暮らしています。これまで憎くて憎くて仕方がなかったんですね。それくらいの怒りが母にありました。
母の本質的なところは昔とまったくといっていいほど、変わっていませんから、口を開けば(母は1分もだまっていられないほどのおしゃべりです)私の地雷をふんでいくわけです。
先日も同じように私の怒りのポイントを絶妙なタイミングと言葉でおさえ、そんなことにも気づかない母は上機嫌で出かけていったわけです。LINEでのやり取りだったので、私の反応がすぐにわからなかったようなのです。
それから怒りが収まらない私は、「なんで~なの!」と母にLINEをおくります。以前と違うところは「ごめんなさい。気が付かなかったわ」と母が謝るとこなんですね。長年「ごめんなさい」なんて母の口から聞いたことがありませんでした。謝るとしても「ごめん、ごめん」か、笑いながら「ご~めん」。本心から悪いと思ってないのがわかります。
そして、そこで収まればよかったのですが、そのあとも母は私の地雷をふみ続けます。怒った私は玄関のチェーンをかけて母の閉め出し作戦を決行。一応閉め出したことを知らせ、母は妹と車で出かけているので、本当に家に入れなかったら妹と喫茶店でも行くのではないかと私ものんきに考えていたんですね。
その後、母から「帰ったけど、家に入れてくれないのね?」とLINE。雨も降り始め20分くらいたって様子を見に行くと、母が鬼のような形相をして部屋の中に立っているんです。
あれ?どこから入った?と思いつつ、私もちょっと悪かったかなと罪悪感もあるので、これ以上母の怒りがヒートアップしないように「お出かけどうだった?」などと話をしながら母をなだめます。
機嫌がなおったころに、「で、どうやって家に入ったの?」と聞くと、「外から中に手を入れてチェーンを外したのよ。なかなか外れなかったわ。ああやってチェーンしておけば安心よね」と、自分が閉め出されたことを忘れ、これまで知らなかったチェーンの存在に感動しているようでした。
80歳の女性が簡単に外せてしまうチェーンもどうかと思うのですが、母の家に絶対に入ってやる!という執念というか母の強さがうかがえて、思わず2人で笑ってしまいました。
その後は恒例の物々交換会がはじまります。甘いものが好きな母はおまんじゅうをひとつ私にくれました。私は代わりにその日きた宅配のうどんを1束母にあげて、それぞれの部屋に入りました。
鬼のような形相をしていた母ですが、母を閉め出そうと考えているときの私も鬼の形相だったと思うのです。結局は鬼ばばあ同士だなと思うとまた笑いがこみ上げてくるのでした。
一緒に生活していると、腹を立てることと、許しの繰り返しです。私は母と暮らしたのは小5までなので、心からの母と関係はあまりなかったんですね。今もお互いどこか遠慮もありますし、知らないことばかりなんです。
怒りは依存の一形態っていうようです。怒りながら母に甘えていると思ったら、ちょっと納得しがたい自分もいますが、まぁそうゆうことなんだなと思います。